旅行記事
アートでよみがえる横浜②:現代アートと都市文化ツアー
横浜の旅は、責任ある旅行者(レスポンシブルトラベラー)*が、旅先の文化に深く親しみ、良い影響を及ぼすことができる絶好の機会です。この半日のツアーでは、二十数年間アートや文化を横浜のまちづくりに取り入れようという試みが実現されつつあるシーンを巡ることで、更なるまちの活性化に貢献することができます。
コミュニティアートとコミュニティツーリズム**の出会い
このツアーでは、横浜在住の地元ガイドと一緒に、横浜の街の活性化を牽引するキーパーソンやアーティストとの交流を通して、急成長する横浜のアートシーンに触れ、見識を深めることができます。
現代アートと都市文化ツアー
横浜在住のガイド、ダネルと一緒に、横浜のアート・シーンを探索しながら、横浜の活性化におけるアートの役割について学びます。前半はみなとみらいエリア、後半は桜並木の大岡川沿いに位置する横浜の下町エリアの魅力を満喫します。ツアーのハイライトは下記の通りです:
●BankARTツアー
歴史的建造物や遊休空間などを文化芸術によって活用し、街を活性化していく活動を行っている非営利アート団体、BankARTのプロジェクト・マネージャーと横浜市内にある展示施設を巡るプライベート・ツアー。
●黄金町のアーティストとの交流
黄金町の個性的な下町エリアを散策し、歓楽街から現代アートの中心地へと変化を遂げた黄金町の驚くべき変貌ぶりを体験。
●野毛ナイトツアー
フォトジェニックで歴史的な夜の街を歩き、居酒屋街を巡り、外国人観光客の少ない本物の 「横丁 」を体験。
このツアーは午後と夕方にぴったりの旅程です。横浜のナイトスポットや宿泊と組み合わせて楽しむのがベストですが、東京への日帰りも可能です。
ツアーガイド紹介
早福 ダネル:
オーストラリア出身のダネルは流暢な日本語を話す、自称、浜っ子。PRと通訳の仕事を経て、日本の裏通りを探索して「お気に入り」を見つけたり、地元の人々と交流することをこよなく愛する、ローカルガイド、ジャパンコンシェルジュ。日本語や、文化、歴史に関する情報をリサーチ、通訳し、旅行者をサポートし「お気に入り」の日本を紹介するのが大好き。地元の職人による芸術品や工芸品、歴史や建築物の美しさに触れ、思い出に残る品や御朱印を集めるのも好きです。
ダネルより
黄金町について:
「初めて横浜に来たとき、同僚たちから黄金町の一番奥は避けるべきエリアだと言われたのを覚えています。今の変化を見ると目覚ましいものがあります。ここは横浜で最も興味深く、カラフルな地域の 1 つです。」
野毛について:
「野毛は素晴らしいナイトスポットです。狭い路地に趣のある風変わりな居酒屋やレストラン、バーが立ち並び、とてもフォトジェニックです。他の大都市にある有名なナイトスポットと比べると、本格的で親密な体験ができます。歩き回って散策するのも楽しいし、カラオケに行ったり、たくさんあるジャズバーで生演奏を楽しんだりするのもいい。ハーモニカ横丁の小さなバーで地元の人たちとおしゃべりしたり、居酒屋やレストランで数え切れないほどの料理を試してみたりできる、絶好のチャンスです。すべて桜木町駅から徒歩圏内にあります。」
BankARTを支える人々
細淵さん(写真左)とキオ(写真右)さんは、 BankART運営の中心人物です。キオさんはバイリンガルでもあり、プライベートツアーにも対応してくれます。 細淵さんは、次のようにコメントしています:
「横浜市は芸術や文化をまちづくりに多く取り入れてきました。一見捉えどころのないように思われる芸術文化を受け入れ、咀嚼するだけの抱擁力を持っている横浜ならではだと思っています。BankARTでは、日本や横浜のアーティスト、そして横浜の創造都市施策から生まれたさまざまな活動について皆さんに知ってほしいと考えています。」
黄金町
西倉さん(写真右)は黄金町近辺の「アートによるまちづくり」を主軸とした日常的なまちづくり活動を統括する黄金町マネジメントセンターの事務局次長。黄金町のレジデント・アーティストだった山田さん(写真中央)は、地域の子どもたちにアートを教える「黄金町Base」を立ち上げました。
おふたりからのコメント:
西倉さん:黄金町が「安全で安心して暮らせるまち」から 「普通のまち」へ、そして 「アートのまち」へと変化しているのを感じています。
山田さん:「始めた当初は毎週筋肉痛になるくらいに子ども達と街を駆け回ることを意識し交流をしていました。今も大変なことはありますが、彼らとのつながりを大切にし温めるように接していければいいと思っています。」
おすすめの時期
このツアーは、通常の注意事項はあるものの、ほぼ一年中催行されます。しかし、大岡川が花びらでピンク色に染まり、その川岸が「花見」を楽しむ人々で賑わう3月下旬から4月にかけては、この地域がほぼ最高の桜の名所になるのでおすすめです。
また、秋には、毎年恒例の黄金町バザールが開催されます。2024年は開催時期が変則的です。横浜トリエンナーレと共催のため3月15日から6月9日までの開催になります。この芸術祭では、追加の展示も行われ、地域の日常空間を舞台として、芸術や文化に関するさまざまな活動が行われます。
画像クレジット:
左: https ://trip.pref.kanagawa.jp/destination/o-okakawa-cruise/220
中央:Pu Yun 《Swinging House》@黄金町マネージメントセンター
右. Nobuhiro Shimura 《The red shoes》 @黄金町マネージメントセンター
横浜トリエンナーレ 2024年3月15日 - 6月9日
この現代アートの国際展は3年に1度開催され、著名なアーティストから新進気鋭のアーティストまで様々なアーティストが紹介されます。トリエンナーレの詳細は以下のウェブサイトで御覧いただけます。期間中、横浜はまさにアートの街となります。横浜美術館、BankARTの発祥の地である旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKOをメイン会場に、黄金町や象の鼻テラスなどでも開催されます。
横浜トリエンナーレ https://www.yokohamatriennale.jp/2024/
ツアーの詳細については、(株)みたて: info@mitate.kyotoまでお問い合わせください。
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*「責任ある旅行者」とは旅行先の地域コミュニティや環境に与える影響に責任をもち、旅行先に配慮する考え方。一部の観光地でオーバーツーリズムや観光公害などが問題視される中で新型コロナウイルス感染症が起こり、観光地から旅行者に対して意識変革を求める動きがみられる。またそのような配慮のある旅行者をレスポンシブルトラベラー(責任ある旅行者/Responsible Traveler)と定義し、国連世界観光機関(UNWTO)の世界観光倫理委員会で、世界観光倫理憲章を旅行者向けにまとめたリーフレットが制作されている。
出典
https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/responsible-tourism/
** コミュニティツーリズムとは、地域が一体となって未開発の自然や遺産を観光コンテンツを開発する観光形態。地域住民が主導となることが多く、観光客と地域住民の交流や地域の独自性がある点がコミュニティツーリズムの特徴。
出典:
https://honichi.com/words/コミュニティツーリズム/